所蔵作品

所蔵作品

当館のコレクションは、釧路市が買い上げた地元作家の作品と合わせ、これまでに多くの市民の皆様からご寄贈いただいた作品から成り立っています。釧路市出身の作家、釧路にゆかりのある作家、また釧路の文化や風景を描いた作品を中心に、市民が愛玩した名品など、日本画、油彩、版画、立体作品、書など383点を収蔵しています。

コレクション紹介

氷雪の河

版画


阿部 貞夫  Sadao ABE
1910(明治43)年-1969(昭和44)年

氷雪の河 Frozen River
1958年 73.0×103.0  木版・紙

東京都生まれ。留萌で幼少時代を過ごし、1929(昭和4)年に上京。戦後、1945(昭和20)年に帰郷し、その後釧路、札幌に住みました。日本版画協会展、全道展に出品し、個展も数多く開催。伝統的な多色刷り板目木版の技法を現代に生かし、道内版画家の先駆者として、自然をテーマに多くの作品を残しています。 氷を押し退けて進んでいく材木船。釧路川を覆いつくす蓮氷と薄桃色の空が、冬の厳しい寒さを感じさせます。

久本春雄「曠原」

日本画

久本 春雄  Haruo HISAMOTO
1896(明治29)年-1968(昭和43)年

曠原  Vast Field
1931年 203.0×167.0 絹本彩色(2曲1隻屏風)

北海道釧路市生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学。中退した後、23歳の時再度、同校日本画科本科に入学し、結城素明のもとで写実を基本とした伝統的な日本画を学びました。1945(昭和20)年、終戦とともに49歳で帰郷し、北海道釧路湖陵高校、北海道教育大学などで後進の指導にあたりました。
故郷釧路の自然を愛した作家。東京で制作された本作も、市内緑ヶ岡にあったゴルフ場に取材し描いたものです。

尾山幟緑苑

尾山 幟  Nobori OYAMA
1921(大正10)年-1995(平成7)年

緑苑 Green Garden
1951年 182.0×121.2
紙本彩色



北海道釧路市に生まれ、多摩美術専門学校(現・多摩美術大学)日本画科卒業後、釧路高等女学校(現・釧路江南高等学校)で教員などを経た後、1951(昭和26)年に上京し、岳陵塾蒼野社で学びました。日展出品を中心に、東京を拠点にして活躍しました。
素朴な中にも、写実と装飾を融和した表現を追求した作家。生涯描き続けた花鳥画には、豊かな色彩があふれています。

西塚栄「岳」雄阿寒の日本画

西塚 栄 Sakae NISHIZUKA
1913(大正2)年-2005(平成17)年

岳 Mountains
制作年不詳 53.0×44.8
紙本彩色

北海道利尻富士町生まれ。小樽商業高校を卒業し、釧路市役所に勤務。釧美展、道展を中心に作品を発表し、道東の自然を題材に力強い日本画を描きました。1967(昭和42)年、本作「岳」が釧路市買上美術作品制度1号となりました。

北の浜辺(床丹) 羽生輝

羽生 輝  Hikaru HANYU
1941(昭和16)年―

北の浜辺(床丹)Northern Beach (Tokotan)

1993年 181.7×227.5
板・彩色

東京都生まれ。小学生の時に釧路に移ります。北海道学芸大学釧路分校(現・北海道教育大学釧路校)の卒業制作以来、現在まで道東の浜辺を描き続け、道展、創画展を中心に発表しています。 作家が描くのは一貫して秋から春にかけての厳しい季節。その寒さの中でスケッチをし、画中に表現しています。本作では白い雪の直線的な表現が、道東ならではの硬くしまった雪の特徴をよくあらわしています。

巨匠とパレット展ー高畠達四郎が釧路滞在時に描いたと考えられる作品。夕日で赤く染まる幣舞橋の上は多くの人々が行き交い、海には、所狭しと船が停泊しており、当時の釧路の活況を示す資料としても重要な作品です。

油彩画

高畠 達四郎  TatsusiroTAKABATAKE
1895(明治28)年―1976(昭和51)年

橋(釧路) Bridge (Kushiro)
1950年頃 65.3×80.2 油彩・カンヴァス

東京都生まれ。慶應義塾大学に進学しますが、画家を志して中退、本郷洋画研究所で学びました。1930年の独立美術協会の創立に参加し、以後独立展で作品発表をします。本作は、1950年の第18回独立協会展に出品された「橋(釧路)」の習作と考えられます。

羽山雅諭「曙光」

羽山 雅愉  Masayoshi HAYAMA
1943(昭和18)年-

曙光 Dawn light
2000年 130.3×194.0 油彩・キャンバス

北海道釧路市生まれ。北海道教育大学釧路分校(現・北海道教育大学釧路校)を卒業、教員として勤めるかたわら制作を続け、全道展、安井賞展などに作品を発表。現在は小樽在住。 港町を移り住んだ作家は、海のある街を題材にした風景画に近年取り組んでいます。本作は、釧路を訪れて制作されました。丁寧に塗り重ねられた色彩には、夜明けの柔らかな光があふれています。

上野山清貢 摩周岳夜景

上野山 清貢 Kiyotsugu UENOYAMA
1889(明治22)年-1960(昭和35)年

摩周岳夜景 Night View of Mt. Mashu

制作年不詳 78.3×115.5
油彩・キャンバス

北海道江別村(現・江別市)生まれ。1912(大正元)年に画家を志し上京。35歳で帝展に初入選し、以後連続3回特選を受け、中央画壇で注目を集めました。北海道にも度々訪れ、全道展の創立にも関わりました。
本作は釧路管内にある摩周湖を題材とし、黒を基調とした深い色調によって、湖の持つ神秘的なイメージを描き出しています。

小川原脩「幣舞橋風景」

小川原 脩 Shu OGAWARA
1911(明治44)年-2002(平成14)年

幣舞橋風景  Landscape of Nusamai Bridge

1957年 73.0×91.0
油彩・キャンバス

北海道倶知安村(現・倶知安町)生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)卒業。在学中から帝展などへ出品し、前衛的な絵画に取り組んでいました。戦後は、故郷の倶知安にもどり、全道展の創立会員として活躍しました。
動物や身近な風景を多く描いた作家。珍しい風景画の本作は、人の往来で活気あふれる幣舞橋を、上から眺めた構図で描き出しています。

中江紀洋「木霊を聞く」

立体造形

中江 紀洋  Norihiro NAKAE
1943(昭和18)年-2021(令和3)年5月18日

木霊を聞く  Listening to the Echo
1978年 167.0×57.6×80.0

北海道釧路市生まれ。武蔵野美術学校を卒業後、釧路で制作を続け、全道展協会賞、自由美術協会展平和賞を受賞して注目を集めました。釧路市・幣舞公園「地殻交信機」のほか、札幌芸術の森に「PILE WAVE」、とうや湖ぐるっと彫刻公園に「生彩」など、道内各地に野外彫刻が設置されています。 過去から未来へのメッセージを、木という素材を生かして表現しています。