開催中の展覧会

2022年は釧路市生涯学習センターが開館して30年目、釧路ゆかりの作家を紹介する企画展「くしろの造形」シリーズが始まって20年目の節目の年です。「釧路市アートギャラリー」という名前でスタートした当館は、2000年に「釧路市立美術館」として新たな一歩を踏み出しました。また、地域ゆかりの作家を個展形式で紹介する企画展「Art Spirit くしろの造形」シリーズは2002年の「羽生輝展」を皮切りに8年間にわたって開催し、その後も不定期ではありますが、2019年までに10人の作家を紹介してきました。

本展では、これまでの展覧会、とりわけ「くしろの造形」シリーズに焦点を当て、美術館の活動の歩みを当館コレクションとともに振り返ります。

開催情報

会期
2023年1月4日(水)〜2月5日(日)

休館日 
月曜日

開館時間
10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)

観覧料
一般140円  大学生以下無料
*身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けた方及び付き添いの方は無料
*65歳以上の釧路市民は無料

主催:釧路市立美術館、(一財)釧路市民文化振興財団
共催:公益財団法人 釧新教育芸術振興基金
協賛:アートギャラリー協力会
協力:FMくしろ

構成

1992年:久本春雄と同時代の画家

1992年に釧路市生涯学習センターがオープンし、その開館記念展の1つとして「久本春雄と同時代の画家」展を開催しました。当時はまだ美術館はなく「釧路市アートギャラリー」という名称でした。本展は、釧路市出身の日本画家・久本春雄(1896-1968)の東京時代に注目し、同時代の画家たちとの関係性の中で、久本の画業をとらえようとするものでした。

久本春雄「曠原」 1931年 

2002年:Art Spirit くしろの造形ー1 羽生輝

2000年に「釧路市アートギャラリー」は「釧路市立美術館」として新たな一歩を踏み出しました。釧路ゆかりの作家を個展形式で紹介する「Art Spirit くしろの造形」が始まったのは2002年からです。記念すべき最初の作家は釧路の浜を描き続ける日本画家・羽生輝(1941- )。釧路地域との関わりの中で生み出される造形を探る本シリーズにおいてふさわしい選出と言えるでしょう。

羽生輝 「海霧(家路)」2018年

2003年:Art Spirit くしろの造形ー2 中江紀洋

2003年は彫刻家・中江紀洋(1943-2021)を紹介しました。初期の木彫から2000年代のインスタレーションに至るまでの作品を通覧する展覧会でした。中江紀洋は釧路出身、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)を卒業後、釧路で制作を続け、全道展や自由美術協会展で活躍しました。目には見えない「時」を形にすることが一貫した制作のテーマでした。本展は新作の公開制作やボランティアの人々のと共同制作を行なったという展で教育普及の面において意欲的な展覧会であったといえるでしょう。

中江紀洋「抱擁」 1973年

2004年:Art Spirit くしろの造形ー3 望月正男

シリーズ3回目は海辺や道東の漁港を描いた油彩画家・望月正男(1918-2008)の展覧会でした。望月正男は名寄市生まれ。1949年に北海道学芸大学釧路分校美術科で教鞭をとるために釧路へやってきました。日展、創元展、全道展などに出品。1964年に文部省在外研究員としてヨーロッパに学び、釧路とは異なる気候と風土の影響を受け、帰国後、1970年代から〈入り陽〉や〈落日〉と大した太陽が登場する作品を描きました。

望月正男 「落日」 1991年

2005年:Art Spirit くしろの造形ー4 米坂ヒデノリ

2005年は釧路市立美術館開館5周年を迎えた年でした。一つの節目となるこの年の「くしろの造形」展は米坂ヒデノリ(1934-2016)の個展です。米坂ヒデノリはくしろ生まれ、1957年東京藝術大学彫刻科卒業。全道展、自由美術展を中心に出品しました。木彫や全道各地の公共彫刻で知られ、厳しい北の風土の中で苦闘した人々への鎮魂、故郷を失った流浪者の悲哀などをテーマとしていました。

米坂ヒデノリ 「北の道標」 1983年

2006年:Art Spirit くしろの造形ー5 久本春雄

シリーズ5回目となる2006年は久本春雄を取り上げました。1992年の生涯学習センター開館記念展とは異なり、個展形式で、画家の生誕110周年という節目にその画業を振り返るものでした。のため、東京時代の作品だけでなく、終戦後、釧路に帰郷してからの作品も含めてご紹介しました。当館においてコレクション展の枠組みで久本の作品を公開する機会はたびたびあったものの、道内外にある代表作を当館で一堂に展覧したのは2006年が初めてでした。

2007年:Art Spirit くしろの造形ー6 小野寺玄

展はシリーズ始まって以来初めてとなる陶芸の展覧会でした。釧路出身、全国で高い評価を受けている陶芸家・小野寺玄(1934-2016)を取り上げました。小野寺は芦別に移住後、東京の文化学院へと進学し陶芸の道へ進みました。卒業後は北大路魯山人に師事し、その後神奈川県大磯に「潮音窯」を開き、制作活動をつづけました。また、時代とともに途絶えた石川県能登地方の珠洲焼の研究も行いました。

小野寺玄 「炭化錬上連山図」 1983年

2008年:Art Spirit くしろの造形ー7 小林一雄

2008年は油彩画家・小林一雄(1914-2009)の展覧会でした。釧路に生まれた小林一雄は戦時中にひと時釧路を離れる、あるいは渡欧することはあったものの、活動拠点を釧路に置き続けた画家です。太平洋炭礦に勤めながら日展に出品し、1969年に定年退職したのち、パリにわたり現地の公募展にも出品しました。活気のある釧路の港を描いた風景画が特徴です。

小林一雄 「冬のセーヌ河畔(サン・ルイ島)」 1993年

2015年:Art Spirit くしろの造形ー8 尾山幟

2015年は釧路出身の日本画家・尾山幟(1921-1995)を取り上げました。本展は作家の没後20年の節目に故郷で開催される初めての回顧展でした。尾山幟は多摩美術専門学校(現・多摩美術大学)日本画科を卒業後、釧路高等女学校(現・釧路江南高等学校)で教鞭をとったのち、終戦後再び上京しました。日展に出品を続け、晩年には日展評議員も務めました。

尾山幟 「彩苑」 1953年

2015年:Art Spirit くしろの造形ー9 中原悌二郎

2015年にはギャラリーAでの尾山幟展と同時開催としてギャラリーBで中原悌二郎(1888-1921)を開催しました。中原悌二郎は釧路生まれ。9歳の時に旭川の叔父の養子となり、17歳の時に画家を志して上京。白馬会研究所・太平洋画会研究所で学び荻原碌山の影響を受け、彫刻に進みました。気鋭の彫刻家として注目を集めましたが、病のため33歳の若さで亡くなりました。

当館は中原悌二郎の作品を所蔵しておりません。そのため、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館より作品をお借りして開催しました。

中原悌二郎展会場写真

2019年:Art Spirit くしろの造形ー10 木下勘二

10回目を迎えた「Art Spirit くしろの造形」シリーズでは、夕張出身、釧路で美術教育に携わり多くの人を育てた木下勘二(1917-1989)を取り上げました。三菱美唄砿業所で働きながら絵画を制作していた木下は1943年に三菱大夕張砿業所に転勤となり、故郷に戻ります。戦後は1946年より美術教員として働き、1970年に自ら道東を希望して、釧路江南高等学校に赴任しました。1977年の退官後も、釧路で美術教育に携わりました。

木下勘二 「ベニスの壁」1982年