ここではないどこかに行ってみたい、息を呑むような絶景を見たい、または、食べたことのない料理を味わいたい。「旅」に想いを馳せる人も多い中、2020年からの2年半の間は移動の自由が制限され、以前のように旅をすることが叶わない状況が続きました。コロナ禍以前の生活に戻ろうとする今、改めて「旅」をテーマとしたコレクションをご紹介しようと、本展を企画しました。
旅先の美しい風景や建物、異国の人々や文化、また物語との出会い。日常では見かけない事物を目にする驚きや喜びが詰まった作品を美術館の公式キャラクターペキタとともにめぐります。画家たちが表現しようとした風景やイメージから、「旅」をすることの価値を改めて考えていただければ幸いです。
開催概要
会期
2023年4月8日(水)〜5月7日(日)
休館日
月曜日
開館時間
10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
観覧料
一般140円 大学生以下無料
*身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けた方及び付き添いの方は無料
*65歳以上の釧路市民は無料
主催:釧路市立美術館、(公財)釧新教育芸術振興基金、(一財)釧路市民文化振興財団
協賛:アートギャラリー協力会
協力:FMくしろ
構成
フランスへのあこがれ
文化、芸術の中心であるフランス。近代以降、数多くの日本人画家がかの国にあこがれを抱いてきました。「異国」を切り口に当館のコレクションを改めてみると、ヨーロッパ特にフランスの風景を残している作家が多いことに気が付きます。
1957年、釧路からパリへ移り、そこで画家としての才能を開花させた増田誠をはじめ、文部省在外研究員としてパリへ赴いた望月正男、また増田誠を頼ってパリへ留学した小林一雄などの作品から、フランスの建造物や風景をご紹介いたします。
作者の旅
他の土地を訪ねることは、それぞれの歴史や文化、他者の存在を知ることなのかもしれません。芸術家である作者にとって、旅は表現を深め広げる上で切り離すことができない大切な要素です。
エルサレムの土地を描くことをライフワークとした松尾洋をはじめ、それぞれの作者が旅をした土地や文化とともに、作品をご紹介します。
山のある風景
日本においては、見渡せば何かしらの山が見える土地が大半です。それほどに身近な存在である山は、時には信仰対象として畏敬され絵画として描かれてきました。日本最高峰の富士山や、今も煙をあげる桜島とともにある町など、日本各地の風景をお楽しみください。
北の作家による、北の風景
旅といっても、海を越えた文化や言語が異なる異国への旅もあれば、電車や車を使った身近な土地への気軽な旅もあります。道中での思わぬ出会いや気付きも旅の醍醐味の1つでしょう。
北海道出身、または北海道で育った画家たちが見つめ、表現した「北」をテーマに作品を展示いたします。
くしろ・時間旅行
「今」ここではないどこかへ行くことが旅ならば、「一昔前」の釧路の情景を見ることも、旅といえるのかもしれません。ここでは当館コレクションの中から1960~2000年までに描かれた釧路の風情をお楽しみいただきます。変わっていく街並み、反対に、変わらずそこにあり続ける自然を見つめ直す機会になれば幸いです。